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b. NOx低減への効果
・NOx(0213%換算)は目標出力である出力率354で、約500ppmであった。
これは環境庁規制値である950ppmの約半分であり、大幅にNOxが低減されることがわかった。
NOxが低減されたのは、ミラーサイクルにより、シリンダ内温度が低下し、それに伴いNOxの生成が抑制されたためと考えられる。

 

c. サイクルシミュレーション結果との比較
・燃焼最高圧力を比較した場合、低負荷においてはシミュレーション結果と実測結果とが、ほぼ一致することが確認された。(図116)
・サイクルシミュレーションでは、ミラーカム1よりもミラーカム2の方が燃焼最高圧力が低下すると予想された。
しかし、実測結果では低負荷域に於いてはその傾向が見られたが、高負荷域では逆転し、ミラーカム2の方が燃焼最高圧力が上昇した。
・この原因を以下に考察する。
シミュレーションでは、吸排気弁の動き(カムタイミングと弁リフトの関係)を静的なものと考え計算を行っている。
ミラーカム2では吸気弁閉タイミングを早めるため、ミラーカム1よりもカム速度(加速度)が大きくなっている。
そのため、吸気弁の動的な閉弁タイミングが遅くなり、シミュレーション通りの効果が現れなかったものと考える。(図117、118)

 

d. 燃料噴射系について
・燃料噴射圧力を下げる目的で、噴口の数を増加させた2段噴口型の燃料弁ノズルを使用し運転を行ったが、スモークが明らかに悪化した。
そのため、従来の燃料弁ノズルを使用して運転を行った。
・その結果、出力率354での燃料噴射圧力は約1,450kgf/cm2となり、従来の許容レベル(実績レベル)である1,300kgf/cm2を超える結果となったが、燃料噴射ポンプの設計許容値である1,500kgf/cm2以下であることがわかった。
・商品化に当たっては高噴射圧力に耐えられる燃料噴射ポンプの採用を検討する必要がある。

 

 

 

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